01. エンジンとエグゾースト

エンジン
250ccの2ストロークエンジンは十分なパワーとトルクを供給するものの、車体は軽量なため、ライダーは困難な障害物を容易に切り抜けることができます。最先端のエンジニアリング、革新的な2ストローク設計、そして画期的なTPI燃料噴射技術により、モデルのエンジンは以前よりもさらに洗練されました。コンパクトかつ軽量の2ストロークは、非常に過酷な地形を制覇するうえで、利用可能なエンデューロのパフォーマンスを求めているオフロードライダーに最適なバイクです。Euro IV規制にも適合しており、非常に環境に優しいだけではなく、ライバルたちの顔を羨ましさで青ざめさせることでしょう。


シリンダー
KTM 250 EXC TPIシリンダーは口径66,4 mmで、洗練されたパワーバルブが装着されており、スムースかつ制御性の高いパワー特性を提供します。EFIでは、シリンダーに2つの水平ドームがあり、燃料をリア転送ポートに燃料を供給する燃料インジェクターを格納しています。下流噴射することにより、燃料と上流空気の優れた噴霧化を保証します。したがって未燃焼燃料のロスが最小化されるため、排出量の減少、より効率的な燃焼、さらに燃料消費の減少へとつながります。シリンダー裏の小さなチューブはインテーク圧力センサーに接続されており、制御ユニットに圧力データを提供します。シリンダーは、精巧なメカニズムにより水平なエグゾーストポートを実現した最先端のパワーバルブユニットを備えています。エグゾーストポートのレイアウトによりエンジン性能が向上し、エグゾーストポート上部の外形はより正確なポートタイミングとなるように加工されました。大事なことを言い忘れていましたが、このモデルでは、より広範に利用されている従来のスパークプラグの使用が可能です。


クランクケースとエンジンカバー
コンパクトなクランクケースは高圧ダイキャスト製造プロセスで製造されているため、重量を削減しつつ、強度と耐久性を維持しています。この設計により、シャフト配置を重心に近い最適な位置にすることができ、パーフェクトな重量の集中化と卓越した乗り心地を実現しました。さらにエンジンカバーは、ライダーのブーツによる摩耗を削減するスマートな表面構造となっており、EXC購入時のフレッシュな見た目を維持します。


トランスミッション
KTM 250 EXC TPIには堅牢なPANKL Racing Systems製の6速トランスミッションが装備されています。ギアはより頑丈な鍛造の原料で形成されているため、高い耐久性と信頼性を保証します。他にも250 EXC TPIのトランスミッションには防泥ギアシフターという注目すべき機能があります。フットペグのデザインと同様に、泥の堆積を防止し、条件にかかわらずいつでも次のギアに切り替えられます。


エンジンマネジメントシステム
TPIモデルのエンジンマネージメントシステム(EMS)には制御ユニットがシートの下に装備されています。ECUは、イグニッションのタイミングと噴射する燃料の量を吸気圧、スロットル位置および水温などの複数のセンサーとさらに新しく加わった周囲気圧センサーの読み取り値に基づいて決定します。緯度と温度の補正により、ライダーはジェッティングをあれこれ調整する必要はありません。ライダーがKTM PowerPartsプログラムから選択したラジエターファンを装着すると、EMSから直接制御され、サーマルスイッチを追加する必要がありません。


バランサーシャフト
もう手足に感覚がなくなることはありません。このエンジン設計は振動を最小限に抑える水平カウンターバランサーシャフトの実装が可能です。つまり、快適性を向上し、疲労を軽減し、ライダーをサポートします。


クラッチ
KTM 250 EXC TPIは、KTMが開発したDDSクラッチ(減衰ダイヤフラムプレート)を搭載。耐摩耗性の高いスチール製ハウジング、耐熱性が極めて高いクラッチプレート、そしてニトロ化スチールライナーを採用しています。この設計は、通常のコイルスプリングの代わりに、非常に容易にクラッチを作動させるダイヤフラムスプリングを採用していることが特徴です。ダイヤフラムスプリングには、ダンピングシステムをクラッチハブに内蔵するのに十分なスペースがあります。トラクションの向上が目標ですが、耐久性も妥協できません。油圧式Brembo駆動クラッチは、軽い操作とテレパシーのような制御性を標準で提供します。


オイルポンプ
KTM EXC TPIでは、2ストローク燃料を事前に混合する必要はもうありません。2ストロークの製品群には、耐久性と信頼性が大幅に改善された柔軟な装着具が装備されています。さらに、オイルポンプに泥が入るのをメッシュフィルターが防止します。オイルタンクの下に位置するオイルポンプが潤滑油を直接スロットルボディに供給し、そこで流入空気と混合され、ピストンとクランクシャフトを潤滑化します。エンジンマネジメントシステムは、エンジン速度とスロットル・ポジション・センサーのデータを使用してオイルポンプを正確に電子制御し、所定の条件に最適な量のオイルを使用するようにします。燃料タンクとステアリングヘッドの間に位置するオイルタンクのタンクキャップアセンブリは、オイルを上部フレームチューブ内のホースからオイルタンクへ供給します。燃料とオイルの平均比率は1:80のため、オイル容量約0.7 Lは少なくとも燃料タンク5杯分に十分対応できます。


スロットルボディ
TPIエンジンにはDell`Orto製の39 mmスロットルボディが装備されています。空気流は、ツインケーブルスロットルカム(ハンドルバースロットルアセンブリにより動作)で接続されたバタフライで調節されます。スロットル・ポジション・センサーは、空気流データを制御ユニットに提供します。アイドルシステムは、バイパススクリューを通してアイドル速度をより正確に設定できるようになりました。また、コールドスタートシステムは、バイパスを開いたときにより多くの空気が供給されるようになりました。電子制御のオイルポンプからオイル吸入チューブを通して供給されたオイルは、流入空気と混合され、エンジンの可動部品を潤滑化します。

TPIオルタネーター
エンジンマネジメントシステムのパワー要件に対応するため、TPIモデルにはパワフルな196 Wオルタネーターと電圧レギュレーターが装着されています。EXC-F 4ストロークモデルに装着されているものと同じです。

冷却
運転中に馬力を一定させるには、最適なエンジン温度を維持することが必須です。KTM 250 EXC TPIには、重心近くにラジエターが装着されています。これは、新しいシュラウドのデザインに完璧にマッチし、優れた人間工学的形状となっています。この革新的なシステムは、CFD技術(計算流体力学)とスマートな冷却回路の配線により、条件にかかわらず、最高のパフォーマンスをもたらすエンジン温度を保証します。中でも、デルタ分配器はトライアングルフレームに格納され、大型のセンターチューブを装備し、冷却液がシリンダーヘッドからラジエターまでより効率的に流れるようになりました。ラジエターにも特別なプロテクターを装着し、飛来する小石や破片から保護するだけではなく、衝撃時にラジエター周囲にエネルギーを分散するブレースとしての役割も果たします。


エグゾーストシステム
エグゾーストシステムは、パワー供給とパフォーマンスにおいて重要な役割を担い、他に負けない威力があります。250 ccと300 ccモデルには、革新的な3Dスタンピング処理により製造されたHDエグゾーストパイプ(高耐久性)が装備され、うねのある表面の仕上がりとなっています。そのため、パイプはより頑丈となり、小石に対する耐性が向上し、騒音も大幅に削減されています。マフラーはコンパクトな形状となり、エンドキャップの内部設計はモデル毎に個別に開発された一方、アルミニウム製の装着用ブラケットにより装着されています。さらに、エグゾーストシステムはスリムな人間工学に基づく形状となり、地上高が高くなった一方、有孔インナーマフラーチューブは軽量のダンピング材と連動するため、効率的で耐久性の高い騒音削減が可能となっています。
