01. エンジンとエグゾースト

エンジン
最先端のエンジニアリング、革新的な2ストローク設計、画期的なTPI燃料噴射技術により、150ccの2ストロークエンジンは驚異的かつ効果的です。全回転域で業界トップレベルのパワーを発揮するこのコンパクトで軽量な2ストロークの利点は、その親しみやすい乗り心地にあり、大型2ストロークの威圧感がなく、より過激なアクションに挑戦したい方に最適です。


シリンダー
KTM 150 EXC TPIシリンダーは口径58 mmで、洗練されたポートタイミングとパワーバルブのサポートにより、非常にスムースで制御性の高いパワー特性を提供します。EFIでは、シリンダーに2つの水平ドームがあり、燃料をリア転送ポートに燃料を供給する燃料インジェクターを格納しています。下流噴射することにより、燃料と上流空気の優れた噴霧化を保証します。したがって、未燃焼燃料のロスが最小化されるため、排出量の減少、より効率的な燃焼、さらに燃料消費の減少へとつながります。シリンダー裏の小さなチューブはインテーク圧力センサーに接続されており、制御ユニットに圧力データを提供します。シリンダーは、精巧なメカニズムにより水平なエグゾーストポートを実現したパワーバルブユニットを備えています。エグゾーストポートのレイアウトによりエンジン性能が向上し、エグゾーストポート上部の外形はより正確なポートタイミングとなるように加工されました。新しいシリンダーとTPI技術が合わさったことで、全回転域で際立ったパフォーマンスを発揮し、全モデルと比べてトルクが大幅に向上しました。


クランクケースとエンジンカバー
このコンパクトなエンジンケースは、高圧ダイキャスト製法で製造されており、重量を削減しながら強度と耐久性を維持しています。この設計により、シャフト配置を重心に近い最適な位置にすることができ、優れた重量の集中化と乗り心地を実現しました。


トランスミッション
KTM 150 EXC TPIには、PANKL RACING SYSTEMS製の堅牢な6速トランスミッションが搭載されていて、エンデューロ専用のワイドレシオギアの採用により、正確かつ簡単なシフトチェンジを実現しています。高度な「防泥」ギアシフトレバー設計は、接合部に泥や汚れが堆積するのを防止します。たとえダート愛好家でも、誤った場所に堆積するのは耐えられません。


セルスターター
TPIモデルのエンジンマネージメントシステム(EMS)には制御ユニットがシートの下に装備されています。ECUは、イグニッションのタイミングと噴射する燃料の量を吸気圧、スロットル位置および水温などの複数のセンサーとさらに新しく加わった周囲気圧センサーの読み取り値に基づいて決定します。緯度と温度の補正により、ライダーはジェッティングをあれこれ調整する必要はありません。ライダーがKTM PowerPartsプログラムから選択したラジエターファンを装着すると、EMSから直接制御され、サーマルスイッチを追加する必要がありません。


エンジンマネジメントシステム
全ての2ストロークEXC TPIモデルのエンジン管理システム(EMS)には制御ユニットがシートの下に装備されています。ECUは、イグニッションのタイミングと噴射する燃料の量を吸気圧、スロットル位置および水温などの複数のセンサーと周囲気圧センサの読み取り値に基づいて決定します。高度と温度の補正により再噴射の必要がなくなり、スロットルを回す時間が増え、スクリューを回す時間が減りました。ライダーがKTM PowerPartsから選択したラジエターファンを装着すると、EMSから直接制御され、サーマルスイッチを追加する必要がありません。


クラッチ
150 EXC TPIにはDS(ダイヤフラムスチール)製クラッチが装備されています。高強度ビレットスチール製のワンピースのクラッチドラムとプライマリギアが装着されています。そのコンパクトなリベットのない設計により、比類ない信頼性が実現されました。クラッチには耐熱性に非常に優れたスチールキャリア摩擦ディスクが装着されており、クラッチを効率的に開放し、ダイヤフラムスプリングでプリテンションされるため、Brembo製油圧システムが必要とするレバー操作力を大幅に削減します。


オイルポンプ
KTM EXC TPIでは、2ストローク燃料を事前に混合する必要はもうありません。2ストロークのEnduroシリーズには、耐久性と信頼性が大幅に改善されたフレーム取付式のオイルタンクが装備されています。更に、メッシュフィルターがオイルポンプや燃料に泥が入るのを防止します。これは、オイルポンプと連動しており、潤滑油をスロットルボディに直接送り込み、入ってくる空気と混ぜ合わせてピストンとクランクシャフトを潤滑する仕組みになっています。エンジンマネジメントシステムは、エンジン速度とスロットル・ポジション・センサーのデータを使用してオイルポンプを正確に電子制御し、所定の条件に最適な量のオイルを使用するようにします。燃料とオイルの平均比率は1:80のため、オイル容量約0.7 Lは少なくとも燃料タンク5杯分に十分対応できます。


スロットルボディ
KTM 150 EXC TPIエンジンにはDell`Orto製の39 mmスロットルボディが装備されています。ツインケーブルスロットルカムに接続されたバタフライを介して空気の流れを調節します。このバタフライは、ハンドルバーのスロットルアセンブリによって操作され、スロットル位置センサにより気流データが制御ユニットに提供されます。これによりライダーはバイパスネジでアイドリング回転数を正確に設定でき、コールドスタートも楽になりました。


TPIオルタネーター
KTM EXC TPIの全モデルには、エンジン管理システムの電力要求に対応するため、196 Wの強力な交流発電機と電圧レギュレータが装備されていて、すべてのシステムに常に電力が供給されるようになっています。


冷却
重心近くに設置された2つのラジエータが、過酷な状況でもエンジンの冷却を維持します。これらは、CFD技術(計算流体力学)と巧みな冷媒回路の配線により、あらゆる状況下で最高のパフォーマンスを発揮するための最適なエンジン温度を実現しています。中でも、三角形のフレームに格納されたデルタ分配器には、冷却水の流れを効率化する大型のセンターチューブが搭載されています。ラジエターにもプラスチック製の保護フィンが装着され、飛来する小石や破片から保護するだけではなく、衝撃時にラジエター周囲にエネルギーを分散するブレースとしての役割も果たすというメリットがあります。


エグゾーストシステム
新しいエグゾーストシステムは、パワー供給とパフォーマンスの改良において重要な役割を担い、他に負けない威力があります。パイプは最新の3Dスタンピング技術で製造され、形状が最適化されました。マフラーの設計も改良され、新たな有孔のアウターチューブと軽量化されたウールを内蔵しています。新しくなったエグゾーストシステムも最新のTPIエンジンと完璧な調和で連動し、卓越したエンデューロ特有のパフォーマンスを提供する一方、ボトムエンドのパワーは以前のキャブレターモデルよりも遥かに改善されました。大事なことを言い忘れていましたが、プラスチック製だったマフラーの装着システムは、2つの溶接アルミニウム製ブラケットに変更され、マフラーの重量が60 g軽量化されました。
