01. エンジンとエグゾースト

エンジン
2021 KTM 350 SX-Fのエンジンは、コンパクトかつ軽量(26.6kg)の構成にきちんと配置されています。このエンジンには革新的なクラッチシステムが搭載されています。その完璧なギア調整、耐久性の高いトランスミッション、軽量DOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)シリンダーヘッド、これらすべてによりこの非常に優れたエンジンが実現されています。また、新たにより強力なオイルポンプ中間ギヤを装備し、信頼性が向上しました。最新の電子制御式燃料噴射システムと便利なセルスターターを装備し、ボタンを押すだけで非常に競争力の高いエンジンを始動できます。


シリンダーヘッド
KTM 350 SX-Fのシリンダーヘッドは優れたパワーを生み出します。摩擦を軽減した超平滑な表面のオーバーヘッドカムシャフトが2つ搭載され、4つの軽量チタン製バルブ(吸気側36.3 mm、エグゾーストシステム側29.1 mm)を作動するダイヤモンド・ライクカーボンロッカーアームに接続されています。KTMのエンジニアは、13,400 rpmの回転域を通して理想的なパワーと卓越したパフォーマンスを発揮する最大流量を実現しました。


クランクシャフト
KTM 350 SX-Fのクランクシャフトは高剛性な設計で、短くて軽量のコンロッドを使用し、驚くほどダイナミックで効率的なパワー供給を実現しています。ビッグエンドベアリングは、2つのベアリングシェルを有し、クランクピン上をダイレクトに移動します。この設計は、極めて高回転型で強力なパワーを発揮する350 ccの必須条件です。また、この設計は耐久性を強化し、クランクシャフトのサービス間隔が延長されるため、作業とコストが削減され、2つのホイールをより長く使用できます。


クランクケースとエンジンカバー
コンパクトなクランクケースは高圧ダイキャスト製造プロセスで製造されているため、重量を削減しつつ、強度と耐久性を維持しています。この設計により、シャフト配置を重心に近い最適な位置にすることができ、パーフェクトな重量の集中化と卓越した乗り心地を実現しました。エンジンカバーは、ライダーのブーツによる摩耗を削減するスマートな表面構造となっており、購入時のフレッシュな見た目を維持します。


トランスミッション
KTM 350 SX-Fには堅牢な5速トランスミッションが装備されています。ギアレシオは前のモデルから引き継ぎ、MXトラックに最適となっています。他にもトランスミッションには「防泥」ギアシフターという注目すべき機能があります。フットペグのデザインと同様に、泥の堆積を防止し、条件にかかわらずいつでも次のギアに切り替えられます。


エンジンマネジメントシステム
フューエルインジェクション機能を内蔵した最先端のKeihin製エンジンマネージメントシステムは、44 mmスロットルボディを備えています。インジェクター位置により、燃料と空気が燃焼室までの過程で最適に噴霧化されることが保証されるため、スロットルを開いたときに瞬時のレスポンスと最大のパフォーマンスを確保することが可能です。また、コールドスタートとアイドル調整用の個別のシステムも搭載されています。ECUには、エグゾーストシステムとシリンダーヘッドに完璧にマッチするように開発されたマップが搭載され、トラクションとローンチコントロールを調節するオプションがあります。また、ギアセンサーから受け取った情報をもとに、各ギアに異なるマップを提供し、ギアの切り替え時に最高のパワーを提供するようにします。


シリンダーとピストン
口径88 mmのシリンダーには、CPの最高水準で製造されたボックスタイプの軽量鋳造ピストンが格納されています。非常に堅牢な構造で、高圧燃焼室に適した独自のクラウン形状となっています。コンプレッション率14:1で、振動を抑えたことにより、エンジンは非常にハイレスポンスな特性となっています。


バランサーシャフト
KTM 350 SX-Fが生み出すこの慣性力を打ち消すため、エンジンには多機能カウンターバランサーシャフトが装着されています。効率的に振動を抑えつつ、ウォーターポンプとカムチェーンを駆動します。


クラッチ
DS(ダイヤフラムプレート)クラッチは文字通りライダーの手にバイクの制御力を戻します。高強度ビレットスチール製の耐久性の高いワンピースのクラッチドラムとプライマリギアにより、比類ない信頼性を保証しています。耐熱性に非常に優れたスチールキャリア摩擦ディスクが装着されています。このディスクはダイヤフラムスプリングによってプレテンションされることで、クラッチの効率的な解放を保証します。この設計によってクラッチを引くのに必要な力が大幅に削減され、Brembo S.p.A製の油圧システムではさらにそれが容易になります。


E-Starter
KTM 350 SX-Fに標準搭載されている電気スターターは、実証済みのスタータードライブとMitsuba製の強力なスターターエンジンを使用します。迅速かつ信頼性の高い始動により、最も必要なときに貴重な時間と電力を節約し、常に最強のレース走行を保証します。


ハンドルバーマップセレクトスイッチ
すべての4ストロークモデルでは、左グリップの届きやすい位置に多機能ハンドルバーマップスイッチが設置されており、トラクションコントロール、ローンチコントロールおよび出力カーブ選択(標準; 高度)などの革新的な制御機能を利用できます。トラクションコントロールは、特に過酷なトラック条件のとき、バイクの加速時により効率的なトラクションと高い制御性を保証する独自の機能です。乗車中にハンドルバーのマップスイッチで有効にできます。アイドル速度で2つのボタンを押すだけで、ライダーはローンチコントロールも有効にでき、最も効率的なローンチがゲートから可能となります。また、マップスイッチを使って、ライダーは標準設定以外の出力マップを選択することができ、レース中にオプションが提供されます。


冷却
運転中に馬力を一定させるには、最適なエンジン温度を維持することが必須です。KTM 350 SX-Fのラジエターは重心を低くする位置に配置されています。この設計はシュラウドと完璧にマッチし、非常にスリムな人間工学的形状となっています。この革新的なシステムは、CFD技術(計算流体力学)とスマートな冷却回路の配線により、条件にかかわらず、最高のパフォーマンスをもたらすエンジン温度を保証します。ラジエターにも特別なプロテクターを装着し、飛来する小石や破片から保護するだけではなく、衝撃時にラジエター周囲にエネルギーを分散するブレースとしての役割も果たします。


エグゾースト
すべての4ストロークモデルに搭載されたエグゾーストシステムは、パワー供給とパフォーマンスにおいて重要な役割を担い、他に負けない威力があります。モデル独自のヘッダーパイプには、FDH(フローデザインヘッダー)と呼ばれる高度なリゾネーター、つまりパイプ周りの小型チャンバーが装着されています。このデザインにより、ショックアブソーバーを取り外さなくてもエグゾーストシステムを解体でき、ショックへのアクセスも向上しています。アルミニウム製のスリーブ、エンドキャップおよびマフラーの内部設計により、よりスリムな人間工学的形状となり、規制による騒音規制を守りつつもより細いバイクの車体感覚が得られています。
